2014年1月22日水曜日

売れた、売れないの基準について

本が出版された後、売れた、売れないの他に引き分けというのがあります。

これは、売れても、売れてないわけでもないが、損益分岐点は超えたというものです。
この場合は、ほぼノーカウントとなります。 

では、話しを戻しまして、売れた、売れないの基準についてです。 

まず、“売れた”場合の基準は、2回の増刷(三刷)ということになります。
出版したときに最初の印刷を初版(初刷)と言います。
その初版分が売れたら、刷り増しをするのですが、これを増刷と言います。
そして、この増刷を二回繰り返すことができたら、その本を“売れた”と言うことです。 

売れた、売れないの判断に部数という話しもありますが、実は部数はあまり関係ありません。

出版物の場合、初版分で採算を合わせます。
たとえ初版部数が2000部だったとしたら、2000部売れたら採算はあうような原価計算をしておりますし、価格設定もしているはずです。
つまり、増刷した時点から不労所得的に儲かるような仕組みになっているんですね。
逆に村上春樹の本のように、初版部数が10万部を超えるような本の場合、その分、広告やプロモーション費にお金をかけているので、結果的には初版分で採算を合わせていることになります。 

本の場合、書店在庫というものがあります。
書店在庫というのは、書店に置かれているだけで、売れたわけではない状態のことです。
売れたわけではないということは、返本されることもありますので、この書店在庫というのは出版社にとってのリスクとなります。
書店からの注文が多く、出版社の在庫が無くなったとしても、それは売れているわけではなく、書店在庫になっている場合の方が多かったりしますからね。
ただ、出版社としては、自社の在庫が無いのにも関わらず、注文がある場合、売れているわけではなくても増刷せざるを得ません。
しかし、同時に返本もあるわけですから、2回目の増刷というのは本当に売れていなければ、行われることは無いんです。
 だからこそ、2回目の増刷には価値があるということなんです。

逆に売れていない場合というのは、1年後の時点で実売が初版部数の2/3未満だった場合になります。

そして、引き分けというのは、1年後の時点で実売が初版部数の2/3以上で、増刷が2回未満の場合です。

出版を目指す場合は、出版することにばかり注力するのではなく、出版後の販売戦略まで視野に入れて準備を進めるようにしましょう。
ソーシャルメディアを見ていても、著者ブランディングをしているわりに、いつまでも二冊目が発刊されないまま数年経っている方もいらっしゃいますが、決して格好のいいものではありませんからね。