ここ数年、“電子書籍元年”と言われているのにも関わらす、なかなか普及しない電子書籍について書きます。
この電子書籍ですが、皆さんはどのようにお考えですか?
著者として考えた場合、電子書籍の登場は、誰でも身近に出版できる環境が整ったと言えるのかもしれません。
お金はかかりますが、出版社の決済は必要ありませんからね。
ただ、逆に言えば、商業出版の最大の価値である、出版社が「この内容は世に出すべきだ」というお墨付きが無いということでもあります。
そして、お金を出せば、誰でも出版できてしまう以上、自費出版と同じレベルと言えるでしょう。
その上、現物もあるわけではありませんから、重みも一切ありません。
あれで、出版したといえるのでしょうか?
そして、ブランディングになるのでしょうか?
現状では、電子出版をやっている出版社というのは、紙の本を出していないところがほとんどです。
出版社というより、システム会社のようなところが多いですからね。
つまり、プロの編集者も介在していないコンテンツということになります。
実際、内容も酷いものが多いですからね。
あれなら、情報商材の方が、それなりの値付けをできるだけマシなのかもしれません。
弊社にも電子書籍の編集の依頼をいただいたことがありますが、編集費が紙の商業出版に比べ、五分の一以下だったこともありお断りさせていただきましたからね。
プロの編集者は、電子出版の仕事に手を出すことはないでしょう。
あるとしたら、仕事に困っている力のない編集者ぐらいだと思います。
では、電子出版に価値は無いのか?
それは違います。
あくまでも、紙の商業出版と比較するから価値が無いのであって、電子出版ならでは使い方を考えたらいいのです。
市場が小さく、商業出版では難しいと言われたコンテンツなら、多少高額でも問題ありませんから、しっかりと編集費を捻出し、電子出版で出してみるとか…。
自社のテキストやマニュアルなどを小ロッドで印刷して販売するなら、電子出版でも販売してみるとか…。
内容に絶対の自信があるのなら、出版社に口出しさせずに、電子出版で出してみるとか…。
電子出版には、電子出版ならでは使い方があるんだと思います。
それを考えて取り組む分には、電子出版という新たなメディアが生まれたことは、十二分に価値があると思いますよ。
ということで、くれぐれも紙の商業出版の代わりとして、電子出版の誘いを受けたら、必ず、キッパリとお断りしましょう。